子育ての目標は、子供を自立させること。
自立をするためには、まず自分を律する自律力が必要です。
子どもの自律力を育むために、おこづかいの与え方を考え直してみませんか?
おこづかい=無駄遣いのお金?
モノを大切にする気持ちやお金の価値を子供に伝えたいと、親なら誰しも願っていることでしょう。普段から「無駄遣いはダメ!」と財布のヒモをきつく締め、おこづかいは「どうせ無駄遣いするだけだから」と、せいぜい数百円程度の金額を与え、必要なものは申告させて親が買い与えるパターンが多いのではないでしょうか。なかには、「おこづかいはなし」というご家庭もあるでしょう。特に、新学期を迎える今の時期、新しいノートが必要だから買って」「消しゴムもなくしちゃったよ」とこどもにせがまれるままに、渋々ながら買い与えてはいませんか?
でも、ちょっと待って。親が買うか買わないかを判断して買い与えるのは、合理的で無駄がないように思えますが、実は全く逆なのです。お子さんの昨年度のノートを確認してください。きっと白紙の部分がたくさん残っているはずです。鉛筆や消しゴム減り具合も早すぎませんか?お金の無駄遣いをさせないために親がお金の管理をしていても、子どもがモノを無駄遣いしていては意味がありません。
人は自分で買ったモノではいと、大切にするという意識があまり働かないものです。
ある会社では、ボールペンなどの文房具類を本人負担で買わせてイアス。無償で支給すると大切に使おうという意識が薄れ、消耗品の経費がかさむからだそうです。社員は、自分のお金で買わなければなりませんから、ボールペン1本でも最後まで使い切るようになり、その結果、社内でのコスト意識が非常に高まったというのです。
これは家庭でも同じこと。親がなんでも子どもに買い与えていては、モノを大切する意識はなかなか育ちません。子ども自身に買わせることで、お金の価値やモノの扱い方について学ばせることができるのです。そのためのお金が「おこづかい」というわけです。親が必要なものをすべて買い与えていると、子どもにとってのおこづかいは「欲しいものを買うためだけの無駄遣いのお金」になってしまいます。でも、必要なモノ(needs)と欲しいモノ(wants)の両方を子どもの判断で買わせるようにすれば、子どもはそこから様々なことを考えるようになります。
おこづかいを与えても家計の支出は膨らまない
では実際に、おこづかいを無駄遣いのお金にしないためには、どうすればよいでしょうか。それは大きく3つのポイントに分かれます。
① ある程度まとまった金額を与えること
② そのお金で文房具や衣類など子どもにとって必要なモノを、子ども自身に買わせること
③ 最も大切なこととして、親は細かい口出しもお金の援助もしないこと
これまで親が子どもの身の回り品のために使っていたお金を、これからは子どもに管理させ、子ども自身に買うかどうかの判断を委ねます。
例えば、子ども服や文房具類などにいアマで毎月平均3000円使っていたとしたら、その金額を子どもにおこづかいとして与えます。そうすると親はもう子供服や文房具などを買わない(買ってはいけない)のですから、購入決定権が親から子へと移るだけで、家計全体の収支は変わりません。おこづかいを与えると支出が増えてしまうのでは?という心配は無用です。むしろ、子どものおこづかいが足りなくなっても援助をする必要はありませんし(しはいけないのです)、家計が引き締まるともいえるのです。
月額「年齢×600円」
おこづかい額の算出方法は、できれば過去1年の家計チェックを行ったうえで、これから子どもに自身に何を買わせるかで決めるのが良い方法です。しかし、家計簿から特定の費用を抽出するのは結構手間のかかる作業ですよね。
そこで、悩んで時間を無駄にしたり、お小遣い制度の導入をあきらめたりしないためには、「年齢×600円」という金額でまず始めることをおすすめします。例えば7歳(小1)なら4,200円。金額で表すとびっくりする方が多いかもしれません。でも、まとまった金額を与えられるからこそ、子どもはお金のやりくりを考えたり、そのための我慢を学べるのです。
ルールを決めて自律心を育む
おこづかいを子どもの自律心を育む学習ツールとして成功させるには、それなりのルールが必要です。
① 毎月決まった金額を与えること
テストの点数次第で翌月の金額を増減させてはいけません。毎月の家計費が大きく増減しては困りますよね。おこづかいもneedsとwantsを考えてやりくりするお金なのですから、増減させるべきではないのです。
② おこづかいをもらったら10%程度を貯金(投資)すること
ただ貯めるのではなく、目的を持つことが重要です。「野球選手になりたい」「お花屋さんになりたい」といった大まかな湯でで構いません。将来について考える習慣を身につけるためにこそ、貯金が必要なのです。毎月貯金(投資運用)額が増えるのを実感することは、将来の目標を確認すること。習い事や勉強に対しても、「頑張ろう」と意欲的になる効果を狙えます。
③ おこづかいで買うべきものを明確にしておくこと
衣類・文具類の他に、習字セットや笛のような、学校で年度途中に購入する教材も、半額をおこづかいから負担させるとよいでしょう。「自分のお金を使わなければならない」と意識するようになれば、兄姉や知り合いからもらったなども喜んで使うようになります。また、壊れたり補充が必要になった場合もおこづかいで賄わせるように最初から決めておくと、大切に使うようになります。
④ 親は口を出さないこと
「そんなものを買うの?」というような横やりは、親の判断を子どもに押し付けることになります。失敗は大いにさせるべき。「無駄遣いしちゃった」「これは買わなくてもよかった」と、子どもは自分で悟ります。自分で気づくことが自律心と判断力を培うのです。
⑤ 月末に決算を必ず行うこと
おこづかい帳をもとに1か月間をチェックさせます。何に使ったのかわからない不明金が生じるときもあると思いますが、決しておこづかいを減額するといったペナルティを与えてはダメ。そういうときこそ、お金は労働の対価であること、つまり両親の労働について話をするチャンスと考えましょう。
⑥ 月末の残金も貯金(投資)すること
毎月一定額でやりくりする習慣が大切なので、残ったお金はいったん貯金(投資)します。毎月のおこづかいでは足りないものを買うときに引き出すようにします。そして最後に続けるコツとして、
⑦ 決算をしなければ翌月のおこづかい支給はなし
と決めます。すると、必ず、振り返りをすることができます。
この繰り返しが、自立のための自律心を育むトレーニングとなるのです。
次回は、具体的なおこづかいの与え方・使い方をご紹介します。
コメント
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