底値買いとストックの見直し

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「底値買い」は本当にお得?

いつも使っている消耗品が特売セールなので通常価格よりも安くなっているとつい買ってしまい、
家に戻ると同じものがいくつもあった…という経験はないでしょうか?

消耗品の底値買いは家計の節約テクニックの定番とされています。
確かに、洗剤や歯磨き粉・ティッシュなどは日常で必ず使うものですから、
特売日に買っておけば「お得」感が味わえます。
しかし底値買いでいくつもストックを持つことが本当に「お得」なのでしょうか?
購入時の満足感とは裏腹に、実は2つの無駄が潜んでいるのです。

① 収納スペースの無駄

ストックをいくつも溜め込むと、そのための収納スペースが必要になります。
限られた収納場所を多数のストック品で埋めてしまうのは収納スペースの無駄です。
それが10㎝四方程度のスペースであったとしても、
日本の住宅事情からその面積に該当する場所代を割り出すと、かなりの割高!
違う見方をすると、「商品を安く買っても保存の場所代が高くついている」ということになるのです。

② お金の無駄

洗剤でも歯磨き粉でも、一つを使い切るのに約1ヵ月かかるとします。
それが3個あったとすると全部を使い切るには3か月かかります。

ここで考え方を変えてみましょう。
1個230円の商品が特売で200円だとすると3個買って600円。
元の価格で買うより90円分得をしたことになるかもしれません。
しかし、その600円分でほかの商品も買えたはずです。
そんなモノでも使ってこそ意味があります。
当面使わないものにお金をかけるということは、
そのために使ったお金は、あまり「活きた使い方をされた」とは言えないのではないでしょうか。

ちなみに①②の無駄は、風水でも金運を下げる原因と考えられています。
「気」の流れを重視する風水では、モノを溜め込むとその場所がふさがれ気の流れが滞るとされます。
また、掃除もしにくくなるので、さらに金運を下げる悪循環になります。
金運を上げるには、使ったお金を活かしきることが第一歩とも言えますよね。

溜め込まないためには

家計を預かる主婦は日頃から節約を心がけているため、「底値=安さ」という点にひかれがちです。
しかしその一方で家の中にたくさんのストックを溜め込むと、
無意識に「なんとか早く整理したい」という欲求に駆られるものです。
そうなると、どうしてもぞんざいな使い方をしてしまうように思います。

では、ストック自体がなければどうでしょうか。
以前、沖縄の離島を舞台にしたあるテレビドラマで「何もないから、みんな宝物」という台詞がありました。
同じ日本でも、地域環境によっては日用品をすぐには入手しにくい場所さえあります。
そういった場所で生活していれば、水1滴、洗剤1滴も大切に使おうとする意識が必然的に働きます。
言い換えれば、普段からモノに囲まれた生活環境になれてしまうと、
無意識的に無駄を生んでしまう可能性が高くなるのです。

「今使っているものがなくなりそうだから新しいものを買う」というスタイルの方が、
たとえ買い換えの時の価格が底値でなくても、結果的に無駄は少なくなるのではないでしょうか。

「残り」を意識する
トヨタ自動車には「必要なものを必要な時に必要なだけつくる」の生産方式があります。
無駄を省くためのジャスト・イン・タイムという考え方に基づくものです。

余分な在庫を持たなければ在庫分の倉庫保管料と在庫代金、両方のお金をほかに回せるので
ムダ少なくなるという発想は、先にお話しした家庭内の買い置きにも通じること。
底値買いに目を奪われると安く買うことばかりにとらわれ、在庫管理がおろそかになりがちです。
常にどのくらい残っているのかを意識しましょう。

重要なのは普段からの心がけです。
「無駄を省いて節約!」と頭ではわかっていても、本当に実行できているとは限りません。
知識を意識に変えなければ、あまり意味はないのです。

そのためにも普段から「これを使い切っても次はすぐに手に入らない」という状況を
あえて作り出すことが、今の私たちには必要なのかもしれません。

ストック数の基準を決める
少し難しく書いてしまいましたが、心がけることはとても簡単です。
コツは「ストック数の基準を決める」こと。これだけ。

現在使っているものがなくなりそうになったら次を購入するのがベストですが
買い物に行けない日が続いて切らしてしまうこともあります。
それに、昨今の異常気象による災害の多発、さらには大地震に対する備えも考慮すると
やはり1つはストックを備えておいた方が安心です。

使っているものがなくなり在庫を下ろしたら次のストックを買う、というサイクルになります。
その次に無くなるまでに時間があるわけですから、
定期的に設定されている特売日を狙って購入することもできますよね。

もう一点、消耗品の使い初めには、日付を入れておきましょう。
一つを使い切る感覚がつかめます。

家のものを上手く使い回す
収納スペースをふさぐ代表は、床用・窓用・風呂用など、用途別の洗剤類でしょう。
しかし、ほとんどの汚れは石鹸と重曹でもきれいになります。
いくつもの用途別洗剤をそろえなくても十分まかなえます。

次に場所をふさぐのは、台所の調味料や粉類ですよね。
使い切らずに少しずつ残ったままの乾物や粉類が多くありませんか?
そのまま消費期限を迎えて捨てなければならなくなった食材は結構ありますよね。
食品は新しい状態で使いたいもの。
開封したら、なるべく早く使い切るようにしましょう。

そのために有効なコツは、ほかのものにも代用してみること。
例えば、きな粉やたこ焼き粉が余ったら、唐揚げ粉の代用に。
ハンバーグや餃子に混ぜ込むと余計な水分を吸ってくれます。

いろいろチャレンジしてみると「これはなかなかいいぞ」と思う新たなアイディアが生まれてくるものです。
そんな時は料理コンテストなどに応募して励みにすれば一石二鳥ですね。

本当に必要なストックとは?

首都直下地震や南海トラフ地震は今後30年以内にM7級の大地震が70%の確率で起こるだろうと
予測されています(内閣府「防災情報のページ」)。

関東に限らず日本は世界有数の地震国ですから、
どの地域に住んでいようとも常に自身の備えをして危機管理意識を持つことが大切です。

東日本大地震以降も、熊本地震、北海道胆振東部地震、能登半島地震など、
各地で頻繁に大きな地震が起きています。

不幸にして被災してしまったら、
救援が来るまですくなくとも3日間は自力で生き延びるための備えが必要だと言われています。

本当にストックしておくべきモノとは、こういった非常時に生き抜くための物資現金です。

食料や水の備蓄は比較的意識しやすいのですが、忘れがちなのが医薬品とトイレ
ライフラインが止まれば当然水洗トイレの水も流れなくなります。
既存のトイレにセットして使用できる簡易トイレや1回使い切りタイプが市販されているので
衛生メインからもトイレの準備こそ忘れずにしておきましょう。

また、冬場は火の気がなくなると急激に気温が下がります
使い捨てカイロや断熱シート、お湯を沸かすためのカセットコンロとガスの予備などは
十分に準備しておきましょう。

注意したいのは、カセットコンロのガスにも使用期限があること。
食品だけでなく、こういった消耗品も普段から使いながら備えるローリングストックにしましょう。

ペットための備えも忘れずに

ペットも大切な家族の一員です。
特に療養食が必要な子たちのごはんは普段から多めのストックが必要だと思います。
大地震が発生すると配送もしばらくは途絶える可能性が高いからです。

災害が発生したら、どうやって非難するのか、避難先ではどうするか
それとも自宅で待機するのか等々、
ペットと共にどう行動できるかを普段から意識して考えておく必要があります。

イオン有料会員誌『MOM』連載記事を加筆修正  画像: catwhiskers(写真AC)

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