住宅価格はこれからもっと上がる ~それでも“急いで建てる”のが正解とは限らない理由~

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2025年から省エネ基準(断熱等級4)が義務化され、2030年に向けてはZEH水準(等級5・6)が新築住宅の標準になる流れが明確になっています。さらに住宅ローン控除も見直され、令和10年以降は省エネ基準適合住宅だけでは控除を受けられず、ZEH水準や認定住宅といった上位性能の住宅でなければ対象外となります。

こうした制度変更に加え、建材価格や人件費の高騰も続いており、住宅価格はすでに大きく上昇しています。家づくりを検討している人ほど、「今でも十分すぎるほど高いのに、これ以上上がったら本当に買えなくなるかもしれない…」という切迫感を抱えています。焦りを感じるのは自然なことです。

しかし、ここで強く伝えたいのは “勢いで決めるのは最も危険” だということです。

FPとして制度を学びながら「これは伝えなければ」と感じた

ちょうど先日、FPのスタディグループ(SG)で「令和8年度税制改正のポイント」を学ぶ機会がありました。住宅ローン控除の変更点を改めて整理している中で、私は「これは家づくりを考えている人にこそ伝えなければいけない」と強く感じました。

その理由のひとつが、次の表です。

住宅ローン控除の見直し(認定住宅等の新築等の場合)

住宅区分居住年借入限度額
認定住宅令和8~12年4,500万円
ZEH水準省エネ住宅令和8~12年3,500万円
省エネ基準適合住宅令和8・9年2,000万円

一見すると「ふーん、そうなんだ」で終わってしまうかもしれません。 でも、この表が示している本質はもっと深刻です。

表をよく見ると分かる「重大な事実」

省エネ基準適合住宅(等級4)は 令和8・9年までしか対象になっていない のです。

つまり、

令和10年以降は、省エネ基準適合住宅だけでは住宅ローン控除を受けられない。

これは「今の標準仕様ではダメになる」ということを意味します。

ところが、この表だけではその危機感が伝わりにくい。 だからこそ、私は「これは伝えなければ」と強く感じたのです。

ドラマ『3000万』が描いた“お金が人を追い詰める”現実

そんな中で思い出したのが、NHK土曜ドラマ『3000万』です。 物語は、特殊詐欺で奪われた被害金3000万円を偶然手にした夫婦が、魔が差してそのお金をネコババしてしまうところから始まります。

しかし、その瞬間から歯車が狂い始めます。 夫婦は特殊詐欺グループに脅され、逃げ場を失い、ついには特殊犯罪の片棒を担がされるような状況に追い込まれていきます。正当防衛とはいえ、殺人にまで手を染めてしまうという恐ろしい成り行きが描かれています。

もちろん、これはフィクションです。 でも、ドラマが突きつけてくるのは、

「お金の問題は、人の判断力や心の余裕を奪い、正常な選択ができなくなるほど追い詰めることがある」

という現実です。

住宅ローンも同じで、返済が重くのしかかると、心の余裕がなくなり、夫婦の会話が減り、関係がぎくしゃくする。 ドラマほど極端ではなくても、家庭の空気が変わってしまうことは珍しくありません。

家計は勝手に膨らむ。だから「今払えている」は当てにならない

家計は、今よりも確実に膨らみ続けます。 特に子どもがいる世帯では、子どもにかかる費用は年々増えていきます。

食費、スマホ代、習い事、部活動の遠征費、塾代、進学費用、交際費……。 いくら授業料が無償化されたとしても、それ以外の支出はむしろ増える一方です。

だからこそ、「今払えているから大丈夫」「なんとかなる」という考え方はとても危険です。

住宅ローンが家計を圧迫し始めると、まずは生活の質が落ち、次に心の余裕が奪われていきます。 そして本当に怖いのは、家計が壊れることそのものではありません。

家計のひずみは、やがて“家族そのもの”を壊してしまうことです。

お金の不安が続くと、夫婦の会話は減り、小さなことでイライラし、相手を思いやる余裕がなくなります。 家は本来、家族が安心して帰ってこられる場所のはずなのに、住宅ローンが原因で家庭の空気がギクシャクしてしまっては本末転倒です。

だからこそ、焦る前に「資金計画」がすべて

・毎月いくらなら無理なく返せるのか
・教育費や老後資金とのバランスはどうか
・金利上昇リスクに耐えられるか
・性能をどこまで求めるべきか

こうした点をひとつずつ整理し、長期的に無理のない資金計画を立てることが先決です。

制度が変わるからといって、焦って建てる必要はありません。 むしろ、焦りからの判断こそが後悔の原因になります。

住宅の価格が上がる時代だからこそ、じっくりと準備を進めることが、後悔しない家づくりの第一歩です。 制度変更に振り回されるのではなく、自分たちの暮らしに合った選択をするために、今こそしっかりと向き合うタイミングなのかもしれません。

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